正式に凱旋門賞狙い。


 27日の日本ダービー牝馬として64年ぶりに制したウオッカ(牝3=角居)が今秋、世界最高峰の一戦「第86回凱旋門賞」(10月7日、仏ロンシャン、芝2400メートル)に出走することが正式に決定した。30日午前、栗東トレセンで谷水雄三オーナー(67)と角居勝彦師(43)が話し合い、挑戦の意志を確認した。出走すれば日本調教馬として8頭目牝馬は初めて。昨年のダービー馬メイショウサムソン(牡4=高橋成)も出走すれば日本が誇るダービー馬の2頭出し。一気に優勝という夢実現が見えてきた。

 「凱旋門賞に行くことを確認しました。今、正式にゴーサインを出しました」。午前11時、角居師との約30分に及ぶ会談を終えた谷水オーナーは雨の中集まった約20人の報道陣の前で力強く言い切った。牝馬として64年ぶりにダービーを制し、次は史上初の日本調教牝馬として凱旋門賞に向かう。「ダービーで歴史をつくった。今度もまた歴史に挑みたい」と同オーナーは続けた。

 キャリアわずか7戦の3歳牝馬を世界最高峰の舞台へと駆り立てた最大の理由は凱旋門賞で背負う重量の問題だ。4歳以上牡馬が59.5キロを背負うのに対し3歳牡馬は56キロの設定。3.5キロのアドバンテージは大きく、3歳勢は過去10年で8勝と圧倒的な成績を残してきた。エルコンドルパサー(2着)もディープインパクト(3位入線後失格)も地元3歳馬の前に屈した。その点3歳牝馬ウオッカは54.5キロ。強豪古牡馬と5キロ差あるなら互角に戦えて不思議ない。「仏競馬は凱旋門賞を、3歳馬の頂点を決める一戦と位置づけている。重量が全く違う以上、3歳のうちに行っておいた方がいい」(同オーナー)

 本番前に前哨戦を戦うことも決まった。候補レースはヴェルメイユ賞(9月16日、G1、3、4歳牝馬、ロンシャン芝2400メートル)、またはニエル賞(9月16日、G2、3歳牡牝、ロンシャン芝2400メートル)。相手関係、負担重量(それぞれ54、56.5キロ)を検討しながら決定する。今後は栗東で調整し、前哨戦の1週間前あたりに欧州入りする可能性が高い。現地での滞在先など詳細はこれから詰めていく。「騎手もこれから決める。最高の結果を追うならいろいろな選択肢があるはず」(同オーナー)と、地元欧州のトップ騎手に依頼する可能性も示唆した。

 海外遠征の手腕に定評のある角居師は「身が引き締まる思い。英より仏の馬場の方が合いそうだし、馬場に慣れる素質も持ち合わせている」と自信をみせる。谷水オーナーは「参加するだけではない。勝つ気持ちで行かなければ」と締めくくった。日本競馬史を塗り替えた若き牝馬が世界を驚嘆させる…。最高の夢プランがいよいよ動き始めた。

ダンスパートナーも勝てなかったヴェルメイユ賞勝っても歴史的じゃん、頑張っていただきたいですね。