話半分


 宝塚記念を制したアドマイヤムーンを所有する近藤利一オーナー(64)が 日、東京・港区のJRA六本木事務所で会見を行い、世界最大の馬主グループ「ゴドルフィン」に同馬を40億円で転売することで基本合意に達したと発表した。正式な契約はまだ先だが同オーナーは天皇賞・秋(10月28日、東京)への出走を熱望しており、移籍したとしても、外国馬として天皇賞に出走することになる。

 ゴドルフィンから近藤氏に正式なオファーが届いたのは11日だが、ドバイデューティフリー優勝後、モハメド殿下は自身のレーシングマネジャーを介して「ムーンの雄姿が忘れられない。いつでもいいのでドバイに来てほしい。友好を温めたい」との親書を送っていた。10日に専属の獣医師が宮城・山元トレセンで放牧中の同馬の馬体を検査。翌日に40億円を提示した。

 近藤氏は「正直悩んだ」というが、21日の函館8R・松前特別で1番人気の所有馬アドマイヤカイトが競走を中止(右寛ハ行)するのを見て「ムーンに置き換えたらどうだったのか。最もいい時に旅立たせるのもオーナーの務めではないか」と売却を決断。ゴドルフィン側にその意向を伝えた。「今年いっぱいで引退と考えていた。そこに殿下からオファーが。ドバイに招待してもらい、しかも勝たせてもらった。これが米国なら50億でも60億でも乗らなかった」と意気に感じての決断だった。

 正式契約はまだ交わしていない。近藤氏側が天皇賞・秋への出走を熱望しているため。ただ、同氏は「私のためでなくムーンのために天皇賞を獲りたい。ムーンが走ることでファンに喜んでもらいたい」と話しており、自らの所有にこだわっていない。ゴドルフィン側が天皇賞前に正式契約を望むなら、近藤氏は外国馬として天皇賞に出走することを契約の条件に入れるという。

 なお、天皇賞まで近藤氏が所有した場合は札幌記念を挟まずぶっつけで出走、鞍上は岩田を予定。ゴドルフィン所有馬となった場合も外国馬には出走枠があり、レーティング的にも出走に支障はない。種牡馬入り後の権利を含む転売だが、まだムーンは4歳と若く現役を続行する見通し。天皇賞後はドバイのエースとして世界に君臨する。

 ▼松田博資師 ここまで評価してもらえたことは最高であり光栄に思う。

 ▼ノーザンファーム吉田勝己代表 生産馬でもあり(種牡馬入り後は)社台スタリオンステーションに置いてほしいのはやまやまだが、アドマイヤムーンに成功してもらいたい気持ちも大きい。また、このような大きい値段がついたのなら売ることが当たり前と思う。

 ▽アドマイヤムーン 父エンドスウィープ 母マイケイティーズ(母の父サンデーサイレンス)牡4歳 鹿毛 栗東・松田博厩舎所属 馬主・近藤利一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績15戦9勝(中央12戦8勝、海外3戦1勝) 総収得賞金9億3394万7000円(中央4億8668万2000円、海外4億4726万5000円)。03年セレクトセールで1600万円で購入され、05年デビュー。クラシックは皐月賞4着、ダービー7着だったが、古馬になった今年はドバイデューティフリー宝塚記念制覇。ほかに重賞5勝。

『これが米国なら50億でも60億でも乗らなかった』って・・・、じゃぁ殿下からどれだけ厚遇受けたのよって話だよね・・・、馬以外の部分で。
『私のためでなくムーンのために天皇賞を獲りたい。ムーンが走ることでファンに喜んでもらいたい』ならぜひゴドルフィン所有で秋の天皇賞に出てきていただきたいなと。