大井はシロでした。


無念の中止−。18・19日の中央競馬開催に続き、18日の大井競馬も、馬インフルエンザに感染した疑いのある馬が確認されたため、中止となった=写真。ところがその後の検査で、陰性であったことが判明。結局は風邪をひいた馬が1頭いただけだった…。混迷を極める馬インフルエンザ騒動。その影響は拡大していくばかりだ。

 馬インフルエンザ大井競馬場も大混乱! 18日に感染した疑いのある馬が確認されたため、大井競馬は当日の開催を中止したが、その後の検査で陰性が判明。大井としてはGI級の期待が見込まれた売り上げが、単なる風邪(感冒)をひいていた1頭のために、フイになってしまった。

 なぜ、こんな事態になってしまったのか? それは、JRAがインフルエンザの簡易検査キットを大量購入していて、大井競馬場がなかなか入手できず、検査が遅れてしまったためだった。

 問題の1頭(元JRA栗東所属馬で9日に大井入厩)は、午前7時に39.5度の発熱及び水様性鼻汁の漏出の症状が確認された。大井側はいったんは午前11時30分に、出走予定馬98頭のうち、船橋、川崎、浦和、小林分場所属の計25頭を競走除外(その他出走取消2頭)にして開催する意向を示したが、再度の検討の結果、午後零時30分に中止を決定した(18日の馬券は発売なし)。

 陰性か陽性かがはっきりするまでは、感染の可能性は否定できないため、また中央競馬が中止になっている経緯もあり、防疫強化の観点から“開催中止”とするしかなかった。

 午後4時から大井競馬場で行われた緊急会見の中で、塚田修開催執務委員長は「ファン、各関係者には多大なご迷惑をおかけしました。混乱があったことを深くお詫びしたい」と謝罪。その時点でも検査結果は得られておらず、「まだ確認できていない。入手困難だったが、現在検査キット5個を取り寄せています」と説明し、4時30分頃に会見を終了した。

 一方、検査は、キットが届いた4時15分頃から始まって、結果が出たのは4時45分。「陰性でした…。ホッとしていますが、引き続き防疫を徹底したい」と松本忠友開催管理課長。ホッとしながらも、神妙な表情を作っていた。

 なお関東地方競馬公営協議会はこの結果を受けて、「南関東(大井、川崎、船橋、浦和)地区では現在、馬インフルエンザに感染した馬は確認されておりません」と発表した。今後はJRA、他地区との交流競走を行わない措置が取られ、20日以降の南関競馬船橋)は通常通りに開催される(大井の代替開催はしない)。

 それにしても、何とも残念な“開催中止”だ。「イナリワン里帰り」など様々なイベントが企画され、さらにJRAが中止になった土曜日の競馬…。「3万人ぐらいのお客さん、GI並みの売り上げ(20億円以上)が期待できたかも」(TCK広報係)と、損失は大きい。思わぬ馬インフルエンザの余波だった。

★塚田修・開催執務委員長に聞く
−−疑いのある馬はいつ確認されたか
 「午前7時に大井の所属調教師から、管理馬が発熱し、水様性鼻汁が出ているという報告があった。馬インフルエンザの可能性があると判断、検疫厩舎に隔離した」

−−開催中止の発表まで時間がかかったが
 「検査キットを用意できなかった(管理の)甘さもあり、決定が遅れてしまった。検査キットがないと判断は難しい状況で、私どもでは発熱、鼻汁、咳など、インフルエンザの特徴が出るかで判断せざるをえない。発熱馬は咳が出ておらず、インフルエンザであるか判断に苦しみ、それも決定が遅れた原因になってしまった」

−−キットはどうしたのか
 「入手に努力し、やっと5セット手に入りました」

−−ファンの混乱は?
 「無料バス、モノレールの駅には速やかに告知の看板を出した。通常、正午から発売している競馬場の外向発売所、オフト(場外馬券売り場)は、今回は正午には発売しなかった。楽しみにしてくれたファンには申し訳ありません。お詫び申し上げます」

★金沢競馬は3頭「陽性」で中止
 馬インフルエンザ感染は拡大しており、地方・金沢競馬(石川県)で18日、3頭から陽性反応が出た。そのため19、20日の開催が中止となった。

 金沢競馬を主催する石川県競馬事業局によると、16日の段階で厩舎にいた馬を全頭、臨床検査したが、異常はなかったという。だが18日になって発熱した4頭と8月以降にJRAなどから転入した13頭を簡易検査したところ、前者から2頭、後者から1頭の計3頭の陽性反応が出た。感染拡大を防ぐため、この3頭を隔離し、開催中止を決めた。また、ホッカイドウ競馬を主催する北海道競馬事務所も18日夜、旭川競馬場で16日に陽性反応の馬が1頭出たことを受けて、21〜23日の開催中止を決定した。

 JRAでの馬インフルエンザ発症後、地方の各競馬場は入退厩の制限などで対処しているが、それ以前は交流戦JRAからの移籍、地方競馬間の移籍などが、頻繁に行われていた。金沢、旭川競馬場に続く競馬場が出てくる可能性は十分にありそうだ。

多摩川競艇場はウハウハ
 東京競馬場にほど近い多摩川競艇場府中市是政)のお盆開催『第9回大郷葉月杯』は18日、準優勝戦3個レースを中心に5日目を開催。同じ土曜日開催だった昨年をおよそ1億6000万円上回る4億451万8900円の売上を記録した。本場の入場人員も昨年の5482人から8260人に増加し、混乱を避けるために9R以降で締め切りを遅らせたため、最終レースの締め切りは予定を20分オーバー。今年は首都圏単独開催だったこともあり単純比較はできないが、中央、大井競馬開催中止の余波で「例年の日曜の優勝戦並みの入り」(同場関係者)の盛況ぶりだった。

大井に関してはとりあえずシロでしたが、このお盆開催に中央交流競走をやっていただけにまだ楽観視は出来ないでしょうね。