さぁ、公式発表を待つとしますか。


 主力選手の大量流出危機に直面している千葉に、またも衝撃が走った。日本代表のMF山岸智(24)が12日、川崎Fへの移籍を表明した。セルティック入団が決定的なMF水野晃樹(22)、同じくG大阪移籍が決定的なDF水本裕貴(22)に続くレギュラー陣の流出。13日のヨジップ・クゼ新監督(55)の来日を前に、チーム崩壊の危機に立たされた。

 別れを惜しむ涙のような雨が、火照った体を濡らした。山岸は千葉・市原の専用練習場で約1時間の走り込みを行った。自主トレを終えクラブハウスを出ると、心の整理がついたのか自ら口を開いた。「チーム(千葉)の方に川崎Fでお世話になると1週間ぐらい前に伝えた。チームに愛着もあるけど、さらにレベルアップが図れればいい」。ユースから昇格し千葉一筋でプロ6シーズンを過ごした生え抜きからの決別の言葉だった。

 川崎Fからオファーが届いたのは昨年末。日本代表MF中村憲剛、得点王のFWジュニーニョらタレントがそろい、十分に優勝が狙える。加えて就任5年目の関塚監督の下、千葉と同じ3-5‐2の左サイドでプレーできるのも山岸の心を揺さぶった。「やはり優勝争いをしたいし、レギュラーの保証されていない他チームで挑戦したかった」。昨季13位と低迷し昨年12月にアマル前監督を解任。クゼ新監督の就任が正式決定したのが11日と、すべてが後手に回った古巣から徐々に心が離れていった。

 15日からの日本代表候補の鹿児島・指宿合宿には、千葉から山岸をはじめチーム別で最多タイの5人が選出された。だが、皮肉にも全員が契約を保留。すでに退団が確実なMF水野、DF水本に加え、態度を保留しているFW巻とMF羽生も他チームからオファーを受けており、予断を許さない状況が続く。「来月からW杯予選が始まる。アピールして(日本代表で)生き残りが懸かっているから。監督が決まったのがちょっと遅かった」と山岸。13日に来日するクゼ新監督と入れ替わるように、また1人チームの顔が別れを告げた。

 ≪川崎F 期待大≫過去チーム最高の移籍金をかけた山岸の川崎F入り表明に、川崎Fの庄子強化部長は「うれしい」と話した。技術が正確で、左サイドでは豊富な運動量を生かしたプレーを期待。15日の代表候補合宿開始までにクラブ間で合意すれば、川崎市内にあるクラブハウスを訪れる予定だという。また、施設見学と代表候補合宿のため不在となる新体制発表用に、サポーターへのメッセージビデオの撮影も行う予定だ。

めでたい、めでたい。