黒鷲旗優勝記事


 6日の黒鷲旗バレー女子決勝。ラストプレーこそ、デンソーの強さだった。JT・モレーノの力いっぱいのスパイクを、細田がシャットアウト。1953年に同好会として創設以来、55年目の初戴冠に、コートは投げ込まれた歓喜のテープであふれた。

 勝因の第一は攻めのサーブ。相手のコンビを乱すことで谷口や宝来の速攻を封じ、ブロックをエース・モレーノに絞り込む。横の動きが速い井上、矢野が2枚ブロックをしっかり作ると、JT最大の得点源は力を失った。

 一方、デンソーの攻めは幅広い。第1セット序盤、セッターの横山はエース・ロンドンにトスを上げなかった。「(身長185センチの)モレーノがマークしていたので、ブロックの弱いところを攻めた」。岡野、細田のサイド陣にセンター線も絡ませ、一気にリードを広げた。ロンドンが、この日初得点を挙げた時には、既に11-4。大黒柱に頼らず多彩に攻め、ブロックを絞らせなかった。

 達川監督は「もともと個々に見ればいい選手がそろっていた。勝ち癖をつけたかった」と話す。今季はV・プレミアリーグで初の準優勝。そこまで勝ち残った自信と、あと一歩の悔しさを糧にした。主将の岡野は「黒鷲旗は、最初から優勝を目指した」。躍進のシーズンは、最高の形で幕を閉じた。【田内隆弘】

 ○…この6年で、4度も決勝に進出しているJTだが、またも銀メダルコレクションが一つ増えることになった。「すべてにおいて、デンソーが優勝にふさわしいプレーをしていた」と脱帽した寺廻監督。昨季のV・プレミアリーグも含め、5度の準優勝すべてを経験している宝来は、「決勝で力が出し切れないのは、気持ちに弱いところがあるから。次こそは平常心で、戦う姿勢を出したい」と巻き返しを誓った。

 ○…デンソー・片下(東九州龍谷高)、JT・井上(京都橘高)と、女子ではともに高卒新人リベロがチームの守備を支えた。決勝はデンソーが勝利したが若鷲賞(最優秀新人賞)は井上、ベストリベロ賞は片下と、賞を仲良く分け合った。片下は「井上さんは、高校時代からのライバル。負けたくない気持ちもあったし、賞はすごい財産になります」と喜んだ。