緑蟲


 経営難にあえぐサッカーのJ2東京ヴェルディが、首都圏を中心に個別学習指導教室「TOMAS」を展開する株式会社リソー教育(本社・東京都豊島区)に経営権を譲渡する方針を固めたことが18日、明らかになった。東京Vはクラブ存続のため昨年から経営パートナー探しを続けていたが、ここにきて同社への株譲渡話が進行し、最終的な交渉を進めている。同社の保有株式は50%を超える見込みで、事実上のクラブ売却となる。

 前身の読売サッカークラブ誕生から今年で40周年。その記念すべき区切りの年に、数々の栄光とともに歩んできた名門が、大きな転換期を迎えることとなった。

 複数の東京V関係者が「新しい経営パートナーがTOMASに決まった」と交渉が最終段階を迎えていることを明言。経営のトップである萩原敏雄取締役会長兼社長(72)は会社名こそ出さなかったものの「あちらさんは(経営の)主導権を握りたいと言っている。日本テレビ(の保有株式)が0%になることは絶対にないが、必ずしも筆頭株主でなければならないわけではない」と事実上のクラブ売却を認めた。

 東京Vは場当たり的な補強を繰り返す乱脈経営のツケが回り、昨年途中から経営難に陥った。さらに年間20億円とも言われる強化費を肩代わりしてもらっていた親会社の日本テレビが、昨年9月の中間連結決算で12億円の赤字を計上。同社としては実に37年ぶりとなる赤字に転落したことで事態は悪化した。昨季17位に終わり、今季はJ2に降格することもあり経営を圧迫する高年俸選手を大量リストラ。一方で、新たな経営パートナー探しを続けてきた。

 当初は元日本代表MF中田英寿氏(31)やFW大黒将志(28)も契約するマネジメント会社「サニーサイドアップ」との業務提携を画策したが、すでに消滅。そこへ現れたのが、05年から昨年までの4年間ユニホームの袖に「TOMAS」の名を入れ、スポンサーとしてチームを支えてきたリソー教育だった。

 昨年から根強く交渉を進め、ここへきて話が一気に進行。個別指導に定評のある塾「TOMAS」はサッカースクールを開くなどサッカーへの造詣が深く、これまでスポンサードしてきた東京VやJ2横浜FCなどの試合で「TOMASデー」を実施して通常を大きく上回る観客を動員するなどJリーグへの貢献度も高い。日本の将来を担う子供たちの教育に携わっているという企業イメージも明るく、東京Vの未来を託すにはうってつけの存在だ。50%を超える株の譲渡額は推定5億円とみられ、現在は詰めの段階。早ければ今月中にもまとまる可能性が高い。

 また、クラブとしての新たな出発に合わせ経営、フロント陣も一新する見込みで、加藤善之テクニカル・ディレクター(44)は今月限りで退団。萩原社長やラモス瑠偉常務取締役(51)は今春の株主総会を経て退任する可能性が高い。その上で、元日本代表DFでありOBでもある三浦泰年氏(43=現解説者)がGMなど強化部門のトップに就任することも決定的。将来的には同氏の弟で、98年まで在籍したJ2横浜FCのFW三浦知良(41)の復帰も視野に入っている。

 日本テレビ保有株式は20%程度になると見られ、40年にわたった読売グループ傘下でのチーム運営は終えんを迎えることとなった。

 ◇TOMAS 株式会社リソー教育(本社・東京都豊島区)が首都圏を中心に59校を展開する個別進学指導塾。リソー教育は85年に日本教育公社として設立。01年3月に東証2部、02年6月に東証1部に上場。資本金6億8419万円(08年3月現在)。従業員214人。代表取締役社長は宮下秀一氏。

 ◇東京ヴェルディ 1969年、読売新聞社を親会社にプロを目指す日本初のクラブチーム、読売サッカークラブとして発足。ヴェルディ川崎と改称して臨んだJリーグ元年の93年には開幕カードに選ばれ、横浜Mに1-2で敗れる。99年から親会社が日本テレビに変更。愛称のヴェルディは緑を意味するポルトガル語「verde」からの造語。ホームは味の素スタジアムJリーグ優勝2回、ナビスコ杯優勝3回。天皇杯優勝5回。OBには与那城ジョージラモス瑠偉都並敏史三浦知良武田修宏北沢豪ら日本代表多数。

緑蟲がどうなるのも知らんけど。